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2006年02月26日 [15:11] シフ蛮勇記(小説?) 

シフ蛮勇記 第2話  父の形見

花粉症 気付いた時は 罹ってる
            by Mas
 「季語を上手く使用した、現代風味の俳句ですねぇ~」(解説:風流)

・・・
・・・ ・・・
・・・ ・・・ ・・・スミマセン・・・
こんにちは、Masです。

まぁ本日もネタが無いので、
昨日に引き続き小説もどきでお茶を濁します(´▽`;A)




~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~


~ 第2話 父の形見 ~




 アタシは大剣を八双に構え、モンスターに向かって走った。後を追うようにアルベルトが後ろにピッタリと付いて来る。
「さぁ、行くよ!!」
 アタシの大剣がモンスターの胴を払った。間髪入れずアルベルトの細剣がモンスターの身体を貫き、返す刀でけさ斬りに斬り下ろす。モンスターは血飛沫を上げてどうっ、と倒れた。
「ふぅっ、次も引き締めていきましょう」
 そう言ってアルベルトは大きく息を吐く。
「やるじゃ無いか、坊や」
 アタシは素直にそう褒める。だが、アルベルトは不満なようだ。
「すみません、“坊や”は止めていただけませんか?」
 ・・・どうやら“坊や”呼ばわりが嫌だったらしい。
「分かったよ、アルベルト」
 アタシより十も若く、更に年齢相応には見えない童顔だから、アタシにしてみれば“坊や”なんだけどね。でも、まぁ本人が嫌なら仕方が無い。
「それにしても……結構腕が立つじゃ無いか、驚いたよ。どこで習ったんだい?」
 先程、そして今までの戦いを思い出し、アタシはアルベルトに訊いた。
 アタシとアルベルトは、モンスターを退治すべく、ガトの村から南にあるこの洞窟にやって来ていた。
 本来ならモンスター退治はバルハルの“戦士”たるアタシの役目なんだけど、少し前に漂着していた所を助けたアルベルトという坊やが、「お礼」と称して「手伝い」を申し入れてきた。モンスター退治なんてアタシ一人で十分だったんだけど、まぁ仲間が居るならそれに越した事は無いし、身のこなしでそれなりの訓練を積んでいるのは分かったから、同行を許した。
 正直そんなに期待はしてなかったんだけど……でも、それは良い方に裏切られた。見た目は「坊や」なんだけど、一緒に戦ってみてアルベルトの剣の腕前は中々のモノだった。アタシが大剣の重みと腕力で叩き伏せる事に重点を置く剣なのに対し、アルベルトのソレは、素早さと正確さで急所を突く事に重点を置いている様だった。アタシの“戦士”としての血が、「アルベルトと戦ってみたい」と騒いでいる程だ。
「私の技は父から習ったモノです。父は王国の騎士で、剣の腕も王国では一、二を争う程の腕前でした。私は父を誇りに思い、更には父の様になりたい、父を超えたい、と思っていました。
 ……ですが、その父は……」
 アルベルトはそこまで言うと目を伏せた。
 ――これはまずい事を訊いてしまったねぇ……。
 アルベルトが何故あの難破した船に乗っていたかは、ガトの村を発つ前、そして移動がてら訊いていた。
 アルベルトの故郷であるイスマス城がモンスターの大群に襲われ、アルベルトは姉と二人で王国の王子に伝令すべく城を脱出した。その際、滝に落ちて姉とは離れ離れになってしまい、アルベルトは敵対する帝国へと流れ着いたらしい。だが、アルベルトは一人でも伝令を伝えるべく、船に乗って王国へと向かったがその船が難破して……そして、アタシに助けられた。
 モンスターの大群が襲って来た時、アルベルトの両親は武器を取って戦い、アルベルト達姉弟を逃がした。「多分、もう生きてはいないでしょう」と、アルベルトは言っていた。
 ――アタシと同じだ……。
 アタシはそう感じた。
 アタシの両親は、共に“戦士”だった。アタシが産まれてすぐ母は流行病で亡くなり、父は村を守る為に戦って死んだ。孤児となったアタシはガトの世話になり、こうして父や母と同じく“戦士”になっている。
 “戦士”と“騎士”。立場は微妙に違うけれど、“誰かを守る為に戦って死んだ”のは、アタシとアルベルトの両親は変わりは無い。
「悪かったね、嫌な事を思い出させてしまったよ」
 沈んでしまったアルベルトに、アタシは謝った。アタシが訊いたのがそもそも悪いんだけど、こんな雰囲気は苦手だ。
「いえ、大丈夫ですよ」
 アルベルトはそう言って笑うけれど、その笑いも何だかぎこちない。
「それより、後もう一息だ。さっさと済ませようか」
 アタシは強引に話題を変えた。こんな時、正直上手い返し方が見つからない。
「はい」
 アルベルトの返事が思ったより明るい事に、アタシは思わずニヤリと笑う。
「遅れるんじゃ無いよ、坊や」
「ですから、坊やは止めてください」
 アタシ達は残りのモンスターを片付けるべく洞窟の奥へと進んで行った。

「終ったよ、ガト」
 アタシ達は洞窟に住み着いたモンスター達をすべて倒し、ガトの村に戻って来た。ガトに顛末を報告する。
「うむ、そうか」
 ガトはそれだけを言った。もう二十年もの付き合いだ。アタシ達の間ではそれだけで言葉は足りる。だけど、この時は違った。
「おぉ……そうだ……」
 そう言うとガトは、奥の方で何やらゴソゴソとやった後、一枚の古ぼけた紙を持って来た。ソレをアルベルトに渡す。
「アンタはローザリアに行きたい、と言う。ローザリアへ行くのであれば、隣の騎士団領を通って、ソコから船に乗るのが良かろう。コレは騎士団領の地図だ。モンスター退治を手伝ってくれたお礼に持って行くと良い」
「あ、有難う御座います」
 ガトが差し出した紙を、アルベルトは大事そうに受け取る。ソレを確認した後、ガトはアタシに向き直り、こう言った。
「シフよ、アルベルト殿を騎士団領まで送って差し上げなさい」
「分かった」
 アタシもすぐさまそう応える。騎士団領に行くのは随分と久しぶりだ。最後に行ったのは、新しい剣を手に入れる為だったから、もう5年も前になる。
「そこまで甘える訳には……」
 アルベルトがそう言って断ろうとしたが、アタシはその言葉を遮った。
「なぁに、剣を鍛えるついでさね。気にする事無いよ。それに、一人より二人の方が安全、だろ?」
 アタシは片目を瞑ってみせた。
「そうですね……それでは、よろしくお願いします」
 アルベルトはアタシに対して頭を下げた。う~ん、やっぱり堅苦しいのは苦手だねぇ。
「そんな頭を下げるのはお止め。じゃ無いと、また“坊や”って呼ぶよ」
「そ、それは止めて下さい」
 アタシの冗談に、アルベルトは本気で慌てふためく。その様子がとても可笑しかった。
「シフよ……」
 笑うアタシにガトが真面目くさった表情で話しかける。
「何だい、そんな顔して?」
 アタシはいつになく真面目なガトにそう訊ねる。
「コレを……持って行け」
 ガトが差し出したのは、真っ赤な色をした石だった。アタシはソレを手に取り、まじまじと眺める。光沢の無い、真紅の丸い石の中に、細い猫の瞳孔の様な模様が浮き出ている。
「何だい、コレ?」
「ソレは“竜の眼”と言う。その昔お前の祖先が手に入れた物、そしてお前の父親の……形見だ」
「!!!」
 ガトの一言に、アタシは驚き、もう一度手の中の石を見た。
 コレが……父さんの……?
「かつてその石は、太陽の如く眩しく光輝いておった。時が経ち、いつしか瞳から光が失われ、今では路傍の石と変わらない程になってしまった。
 お前の父は、その“竜の眼”にかつての輝きを取り戻す事を強く願っていた。その為に“竜の庭”を探しておった。何所から聞きつけたかは知らないが“竜の庭”の噂を聞いたあいつは、「“竜の庭”に行けば、“眼”に光を取り戻せる方法が分かる筈だ」と言って、旅に出た。だが……。“竜の庭”の在り処すら掴めず、遂に奴はこの村を守って死んでしまった……」
 アタシはガトを見た。ガトは頷き、言葉を続ける。
「シフよ、“竜の庭”を探し出せ。そして“竜の眼”に光を取り戻せ。それこそがお前の父の悲願」
「あぁ、分かったよ」
 アタシは頷いた。父さんの形見……そして父さんの悲願……。心の奥に何か熱いものがこみ上げてきた。
「さぁ、今日はもう遅い。明日出発する事にして、今日はゆっくりと休むが良かろう。客人も、さあ」
「有難う御座います」
「……そうだね」
 ガトの言葉に、アタシとアルベルトは従う事にした。

 夜も更け――
 アタシはガトの家を出て、一人村外れの丘に登った。
 バルハラントの夜は、昼間以上に寒い。夜の闇が、身体も、心も、芯まで凍りつかせる。だからアタシは、普段の装備の上に分厚い毛皮を被っていた。
「父さん……」
 アタシの手の中には、父さんの形見である“竜の眼”があった。ソレを見ると、幼い頃に死に別れた父さんの姿が目に浮かぶ様だった。
 アタシの記憶の中の父さんは、いつもアタシに背を向けている姿だった。その背には、歴戦を潜り抜けた証である、無数の傷が刻まれている。
 父さんの大きな背中に刻まれた傷……ソレがアタシの誇りだった。だってソレが“戦士”だから。
 だけど……。
 父さんの顔が思い出せない……。
 アタシが思い出す父さんの姿は、その傷だらけの背中だけだった。

 父さんの大きな背中に刻まれた傷は、アタシの誇りだった。
 アタシは“竜の眼”をもう一度見る。
 “眼”の中の父さんは、アタシに背を向けていた。
 思い浮かぶのは、その背中だけ……。
 ソレが、今はとても悲しかった……。


~ 続く ~



■次回予告!!

騎士団領を通り、シフ達は遂にローザリアの地を踏んだ。
王子ナイトハルトに謁見を果たした後、アルベルトはある決意をシフに告げる。その内容とは?
次回、~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~
~ 第3話 別離(別れ) ~
“出会い”……ソレは“別れ”への序曲……
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