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2006年03月26日 [22:21] シフ蛮勇記(小説?) 

シフ蛮勇記 第4話  絡め取られる運命

本当は『イスカンダール記』の続きにしようかと思っていたんですが、
読み返してみて、あまりにも恥ずい!ので、こっちに変更(´▽`;A)

こんばんは、Masです。




~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~


~ 第4話 絡め取られる運命 ~




 アルベルトと別れた後、アタシはクジャラートに向かった。
 アタシの目的地の名は“竜の庭”。昔から“水竜”と言う名の守護神を崇めているクジャラートは、その“竜の庭”何かしら関係があるんじゃ無いか? って思ってね。
 エスタミルでミイラ盗掘の護衛やら、人攫いの現場に偶然居合わせたりやらしたけど、結局クジャラートでは何の情報も得られなかった。
 アタシはそのままニューロードを西に、フロンティアへと向かう。未開拓地域の多いフロンティアならば、普通は知らない“庭”の情報が得られる事を期待しての事だったんだけど……。ここでも色んな騒動に巻き込まれただけで、何の情報も得られなかった。まぁ、バーバラって言う踊り子と知り合いになれた事が唯一の救いかな?

 バーバラと別れた後、アタシはニューロードを戻り、船でバファル帝国へと向かった。
 ひょんな事から暗殺者に狙われる娘とその仲間の男の二人組を助け、何かウマが合ってしまい、そのまま少しの間一緒に旅をした。二人組の男の方は、結構名の知れた冒険者らしく、マルディアスの色んな所を旅したらしい。その男――グレイに“庭”を尋ねると「聞いた事が無い」と、そっけなく答えられてしまった。

 二人組と別れて、アタシは再びローザリアへと戻った。ヨービル、アルツール、クリスタルシティを抜け、そして今は、ドライランドのウソと言う村に居る。
「西は……ダメだったか……」
 ウソのパブで頬杖をつきながら、アタシは地図を眺めていた。
「後はこれから向かうノースポイントにワロン島、それにリガウ島か……。そもそも、本当に“竜の庭”なんてあるのかね?」
 そんな事を考えて、溜息を吐く。
「あぁん? 竜だってぇ?」
 つい考えていた事が口に出てたらしい。アタシの背後から、そんな声が聞こえて来た。
「いや、気にしないでおくれ……って、アッハハハハ!! 何だい、アンタ?」
 振り向き、声の主へとアタシが言葉を掛けようとして……その男の奇抜なスタイルについ笑ってしまった。いや、アタシ自身、女の身でありながら胸の開いた服を着ているし、バルハル族の象徴たる頭の角飾りも“場違い”な感じはしているし、あまり他人の事は笑えないんだけどね……。
 その男は年齢三十代半ばくらい。青緑色のズボンを履いていて、同色の上着を纏っている。その上着は右側がボロボロになって、かつて激しい戦いをこなした事を物語っていた。ボロボロな上着なのに、それが妙に似合っていて、右目に眼帯をした顔つきも、男臭さ全開のイイ男なんだけど……。何で……何で、顎鬚が……“三つ編み”なんだい?
 男は、苦虫を噛み潰した様な顔をしている。それもそうか、イキナリ笑われたらそりゃあねぇ……。
「いや、すまないねぇ。アンタの髭があまりにも……」
「慣れてる……」
 男は一言、そう言った。
 ――まぁそうだろうねぇ……。
「それはそうと、さっきアンタは“竜”……何とか、って言ってなかったか?」
 男はそう尋ねて来た。別に隠す事のモノでも無いし、逆に情報が欲しいのはこっちだったから、アタシは男に“竜の庭”の事を話す。
「なるほど……。いや何、俺が手に入れた地図に、竜らしき絵が描かれているんだ。アンタの言っている“竜の庭”に、ひょっとしたら関係するかも知れんぜ」
 男は懐から一枚の紙を取り出し、床に広げた。
「ほら、ココだ。アンタ、腕も立ちそうだし……。どうだ、一緒にこの場所へ行ってみないか?」
 男はそうアタシを誘った。他に手掛かりも無いし、何より一人旅にもそろそろ飽きて来た事だし……。
「分かった、一緒に行かせてもらうよ」
 アタシはそう返事した。
「オーケー。俺の名はホーク。他に相棒のゲラ=ハの奴が居る」
「アタシはシフ。バルハル族だよ」
 アタシ達は互いに右手を差し出し、握手を交わす。
「それじゃ、ノースポイントに行くぜ。ゲラ=ハの奴が首を長くして待っている筈だからよ」

「そう言えば……アンタは何であんな所に居たんだい? 海賊だったんだろ?」
 ホークの相棒である、ゲッコ族のゲラ=ハと合流し、アタシ達は今ゴドンゴへ向かう船の上に居る。アタシは、ふと浮かんだ疑問をホークに訊いてみた。
「あ? いや、何て事は無い。腕の立つ仲間を探していたのさ。ちょっと前までは後二人居たんだが、まぁ諸事情って奴で別れちまってな。俺もゲラ=ハも腕に覚えが無い訳じゃあ無いんだが、ジャングルを探検するとなると些か心もと無い。せめて最低でも後一人仲間が欲しかったのさ。ノースポイントでは目ぼしい奴は見付からなかったんで、ウソまで足を運んで目ぼしい奴が捕まる様網を張っていたんだが……」 
「それにアタシが引っ掛かった、って訳だね」
「まぁ、そう言うこった」
 アタシは可笑しくなって笑ってしまった。
 ホーク達と旅する様になって、アタシは笑う事が多くなった様な気がする。アルベルトと別れてからしばらく一人で旅をして来た。その時はこんなに笑っていなかった。少なくともアルベルトと旅をしている時も思っていた事だけど、「仲間って、こんなに良いもんなんだねぇ」と、つくづく痛感していた。
 アルベルト……アンタ、今どうしているんだい?
 ローザリアで別れたアルベルトの事が、つい心配になって来る。
 姉には会えただろうか? 共に旅をする仲間は居るのだろうか? 無事……なのだろうか?
 何だか……恋人の事を想っている……ん~何か違うね、手の掛かる弟を心配している……そんな感じだねぇ……今のアタシ……。
 思わず苦笑いをする。
「船長、アロン島が見えて来ました」
 アタシがそんな事を考えていると、近くに居たゲラ=ハがそう言って来た。
 ゲラ=ハはゲッコ族と言うトカゲが二足歩行したような姿の種族だった。本来はあまり人間とは関わらないゲッコ族だけど、ゲラ=ハは変わり者らしく、ホークが船長を務めていた船の操舵手だったらしい。
 船はもうすぐ港に着く。アタシ達は手早く船を降りる準備を始めていた。

 日は既にかなり傾いていた。真っ赤な太陽が、西の海へと沈んで行く。
「今日はココに宿を取ろうぜ。俺達は宿に荷物を運んでいるから、シフはコレ頼めるか?」
 そう言ってホークが差し出したのは、一枚の紙。ソレに食料やらサバイバルに必要な道具やらが書かれている。どうやら、買出しを頼まれたらしい。
「パブで落ち合おう」
 ホークとゲラ=ハは、さっさと荷物を持って歩いて行った。
 アタシが、この町初めてなの知ってて言っているのかねぇ?
 それにしても、この町にはゲッコ族が多い。何でも、ココに居るゲッコ族は、“好奇心旺盛の若いゲッコ”らしい。でも、人間とゲッコ、異なる2つの種族が一緒に住んでいる、って言うのはとても良い事だとアタシは思う。
 結構時間が掛かったけれど、それでも、アタシは紙に書いてある物を何とか一通り揃える事が出来た。後はパブに行くだけ……って、パブは何所にあるんだい?
 ゴドンゴの海に、今まさに日が沈もうとしていた。アタシはその光景をただ見つめている。バルハラントは年中厚い雲に覆われていて、太陽を見る日なんて滅多に無い。だから、日の出、日の入なんてのはこの旅を始めるまではほとんど見た事が無かった。この光景を見る事が出来た事だけでも、この旅を始めて良かったと思う。
 気が付くと、アタシの隣に人が立っていた。横目でその人物を眺める。
 人間の女性だった。歳は二十歳前後って所か? 女性と言うよりは、少女とか娘とか言った方が合う様な気がする。白の衣装を纏って、腰には意匠をこらした小剣を帯びていた。肩にどうにか触れない程度の長さに揃えられた柔らかそうな金髪、夕日を受けてキラキラと輝く意思の強そうな蒼い瞳。整ったその顔立ちは、アタシにある少年の面影を思い起こさせた。
 ――って、まさか……この娘は……。
「アンタ、ちょっと良いかい?」
 アタシは娘に声を掛けた。娘がこっちを振り向く。
 ――あぁ……正面から見ると、更に……。
 良く似ていた。あの坊や――アルベルトに。
「なんでしょう?」
 首を傾げながら娘は言う。思わず声を掛けてしまったけど、こちらも心の準備が出来ていないから、咄嗟に何を言って良いのか分からない。
「あ……っと……。もう直ぐ日が沈む。暗くなった外に、アンタみたいな綺麗な娘が出歩いていたら危ないよ」
 ――もっと、マシな事は言えないのか、アタシ……。
「ふふっ、ありがとう」
 娘はそう言って笑顔を見せる。その笑顔もアルベルトにそっくりだ。
「アンタ……ここで一人で何してるんだい。連れは居るのかい」
 アタシがそう尋ねると、娘は少し寂しそうに笑った。
「今は、私一人……。私は……弟を探しているの。生き別れになった弟を……」
 やっぱり!! この娘がアルベルトが探していた姉に違いない。そう確信したアタシは、意を決して訊いた。
「アンタ……アルベルトって名前に心当たりあるかい?」
 娘は驚きに目を見開いた。

 ――人は皆、“運命”と言う名の鎖に絡め取られて生きている――
 誰かがそんな事を言ってたっけ……。
 姉を探す為、に旅に出たアルベルト……。
 アルベルトでは無く、アタシの方がその姉に出会ってしまった。
 アタシは今までの人生の中で、今日程“運命の皮肉さ”を痛感した日は無かった……。

 ゴドンゴに夜の帳が訪れようとしていた。


~ 続く ~


 
■次回予告!!

シフは、アルベルトの姉ディアナと出会った。
皮肉にもアルベルトでは無く、シフの方がディアナに出会ってしまった。運命の皮肉さを痛感するシフ。更に、大時化で船が出せなくなり、時化が引くまでは立往生を余儀なくされる。ディアナはシフ達と行動を共にする事を選んだ。
ディアナを加えて四人となった一行は、地図を頼りにジャングルの奥地へと進んで行く。地図に描かれた“竜”の意味とは? そして海賊シルバーの財宝の在り処は?
次回、~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~
~ 第5話 宿命石の呪縛、海賊シルバー ~
伝説の海賊:シルバー。その真実が今、明らかにされる……。

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