FC2ブログ
2006年04月12日 [16:58] シフ蛮勇記(小説?) 

シフ蛮勇記 第7話  騎士団領動乱 前編:再会

風邪の症状も末期。
絶賛鼻声中!!!!

こんにちは、Masです。

ネット不調関連は、金曜に書く予定なので、
今日はコレ行きます。
 
 
 
~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~


~ 第7話 騎士団領動乱 前編:再会 ~




「何だって? もう軍が動いちまったって言うのかい?」
 ミルザブールへと向かう船の上で、アタシは従騎士トールから現在の騎士団領の内情を訊いていた。
 トールの話によると、ミルザブール公であるテオドールさんが、軍を率いてバイゼルハイムに押し寄せたと言うのだ。オイゲンシュタット公のハインリヒさんは、この暴挙を止めようとテオドールさんと一戦交える覚悟らしい。だが、圧倒的に分が悪い、との事だった。
「我が主ハインリヒ様より、シフ様を探し出し、ご助力を請えとの命を受けております。騎士団に属さない貴方様ならば、騎士団の危機を防げるであろう、と……」
 なるほど……本来ならばハインリヒさんは自らテオドールさんを止めたい筈だ。でも、それをやると騎士団が分裂し、騎士同士が争う事になってしまう。だからアタシみたいな自由の身の人間に動いてもらいたい訳か……。何だか、えらく買われちゃってるねぇ。
「この件に関し、既に名誉騎士様が動かれているとの情報が入っております」
 名誉騎士が動いている、だって? あれ? 確か名誉騎士って言ったら……
「アルベルト、アルベルトが今、騎士団領に居るのかい?」
「はい、私がシフ様にお会いする直前、名誉騎士様がオイゲンシュタットに現れたとの報がもたらされました」
 アルベルト……アンタ騎士団領に居るのかい。だったら、早くアルベルトに会って、ディアナの事を伝えないといけないね。
「それで、アルベルトは今どこに居るか分かるかい?」
 アタシはトールに訊く。
「いえ、そこまでは……申し訳ありません」
 トールは本当に申し訳無さそうに頭を下げる。そこまでされちゃうと、こっちの方が申し訳無く思う。
「頭を下げないどくれよ。アンタが悪い訳じゃ無いだろ。それより、ほら、もうすぐ港に着くよ」
 空は紅く染まり、日が落ちようとしてる。船は、ゆっくりと港に入っていった。

「それでは、私はこのままオイゲンシュタットへ向かいます」
 トールはそう言って去って行った。アタシがミルザブールへと着いた事を、一刻も早くハインリヒさんに知らせる為らしい。アタシはと言うと、自由な身を生かし、ここからは単独行動となる。
「さて……どうしようかねぇ?」
 一人になり、アタシは呟く。ローザリアでアルベルトと別れて以来、一人旅の期間が長かったアタシは、それに伴って独りで呟く事も多くなった。やっぱり、独り、ってのは寂しいもんだね。
 って、感傷に浸っている訳にも行かない。まずは情報を集めなきゃね。
 独りで行動する場合、つまり一人旅でも同じ事なんだけど、助けも無く、何があっても一人で対処しなければならない状態では、“そうならない様に行動する”のがとても重要になって来る。その為には“情報”は何よりの武器になるんだ。まぁ、コイツはちょっと前にニューロードを旅した時に一緒だった、バーバラって言う踊り子の受け売りだけどね。
 取り敢えずは、その情報収集の為にPUBへ行くとする。PUBは色んな人がやって来て、色んな話をする。正に情報収集には持って来いの場所だ。
 一度この街のPUBには来た事あるから、ゴドンゴの時の様に迷う事は無い。すぐにPUBを見つけ、その扉を開けた。
 内乱の噂を聞きつけてか、PUBの中は柄の悪い奴等が多く屯って居た。こいつ等は、こぉゆぅ事には何だか鼻が利くんだよねぇ。だからこそ、色んな情報を知っているんだけどね。まぁ、ガセも多い訳だけど……
 アタシはカウンターに座り、何気ない風を装いながら店を眺めていた。どいつの情報が当てになりそうか、見定める為だ。
 ――さて、どいつが当てになるか……?
 アタシが客の一人一人を見定め始めた時だった。
 ガシャン!
 ガラスの割れる音がして、PUBの中が一瞬静まり返った。音のした方を見ると、一人の男が、紅い衣を纏った女の手首を掴んでいる。
「私に関わるのは止めて。不幸になるわ」
 紅い衣の女は、そう言って男の手を払った。
「ってぇ~。んだとぉ~」
 男は払われた手を摩りながら、女を睨む。女はその視線を微動だにせずに受け止めていた。
 女は、口元を布で隠し、目元だけが見える姿をしているが、切れ長の瞳とすっと通った鼻筋が、その女をかなりの美人だと窺わせる。男の視線を受け止め、力強く輝く瞳は、言葉の内容とは裏腹に、女の意思の――あるいは心の強さを物語っていた。
 アタシは、彼女を知っている。彼女の名はシェリル、かつて南エスタミルのPUBで働いていて、その時も今の様に絡まれていた。
 全く、どこに居ても絡まれるねぇ、それだけシェリルが美人だって事か。
 でも、まぁ“見ているだけ”ってのは、アタシの性に合わないね。ここは一丁あの男を止めて……
「よさないかっ!」
 アタシが止めるより前に、男を制止する声がした。
 ――この声……まさか!
 声のした方へ顔を向けると、そこには予想通りの人物が立っていた。
「アルベルト!」
 アタシの声にアルベルトがこちらを振り返る。
「シフさん?!」
 アルベルトの驚いた表情が、何だか可笑しかった。
「お久しぶりです。シフさん」
 そう言いながら、アルベルトはこっちにやって来た。
 クリスタルシティで別れてから二月程……なのに、ずいぶんと久しぶりの様な気がする。
 アルベルトは随分と逞しくなっていた。何だか男っぽさも増した様な気もするね。
「……何無視してやがる……」
 シェリルに絡んでいた男が、低い声で唸りながらアタシ達を睨む。そう言えば居たっけね。
「あ~、あんた、もぉ良いよ。さっさと居なくなりな」
 アタシは面倒になり、男に手を振る。
「な……っ!」
「アタシに剣を抜かせるんじゃ無いよ。それとも、首と胴を永遠に別れさせるかい?」
 アタシは大剣の柄に手を掛けて、男を睨んだ。
「うぅ……」
 男は情け無い声上げ、後ずさる。そして、脱兎の如くPUBから出て行った。
 男の姿が見えなくなると、柄から手を離す。もちろん、こんな場所で剣を抜くつもりなんて更々無い。ただの脅しだった。
「全く……何処にでも居るもんだね、あんなのが」
 アタシはシェリルの方へと向く。
「アンタも毎度毎度、良く絡まれるね」
「・・・私に関わると、不幸になる」
「またそれかい? やれやれ……」
 アタシは肩を竦めてアルベルトを見る。アルベルトも苦笑いを返した。
 シェリルはPUBのマスターに軽く頭を下げた後、出口に向かって歩き始めた。
「シェリル?」
 その背にアタシは呼びかける。
「……でも……有難う……」
 一度立ち止まりそう呟くと、シェリルはPUBから去っていった。


 ~ 続く ~


 
■次回予告!!

アルベルトと再会し、お互いの状況を話し合うシフ。
アルベルトの話によると、テオドールの娘のコンスタンツは、テオドールが偽者であるという疑念を抱いていると言う。
その真偽を確かめる為、二人ともう一人の仲間ダークはミルザブール城へと潜入するのだった。
次回、~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~
~ 第8話 騎士団領動乱 中編:潜入 ~
かの城、魔物の巣窟と化す……




騎士団領動乱編は3話続きます。
(つか、他キャラ合わせると、全部で5話分あるのですがね)
拙い文章ですが、お付き合いくださいませ。
スポンサーサイト



Re Comments.

Comment Form.

  管理者にだけ表示を許可する 

ブログランキング