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2006年04月13日 [17:40] シフ蛮勇記(小説?) 

シフ蛮勇記 第8話  騎士団領動乱 中編:潜入

まだまだ続く風邪の症状……
今夜、大丈夫かしら!!?

こんにちは、Masです。

風邪同様、今日の日記も昨日に引き続きコレです。
 
 
 
~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~


~ 第8話 騎士団領動乱 中編:潜入 ~




 シェリルが去った後、アタシ達はアルベルトの連れが待っていると言う宿屋に移動した。その部屋に入ると、奇抜な衣装を着た男が立ち上がる。その男が、アルベルトの連れだった。男の名はダーク、記憶喪失で自分の名前以外は覚えていないらしい。だが、最近少しずつ何かを思い出しているとの事だった。ダークを見たアタシの第一印象は、「スキの無い立ち振る舞いをする男」。そればかりか、何か強大な力を秘めている、と感じた。
 それはさておき、その一室にて、アタシ達はお互いの近況を報告する。
「姉さんが……・生きているのですか?」
 アタシがディアナの事を話すと、アルベルトは驚きの表情を見せた後、喜びのソレに変わった。
「そうか……やはり生きていたんだ……良かった……本当に、良かった……」
 その目に涙を浮かべ、アルベルトはそう呟く。
「今はデンカと一緒にクリスタルパレスでアンタの帰りを待っているよ。この件が終ったら、すぐにでも会いに行っておやり」
「……」
 アタシの言葉に、アルベルトは何故か渋い表情を見せた。ディアナを探す為に旅をしていた筈……なのに、一体……?
「そうですね……すべてが……そう、すべてが終ったら……その時は、きっと……」
 そう言って、アルベルトは寂しそうに笑った。
 ――何で、そんな風に笑うんだい?
 その時のアタシは、「すべて」と言うのは、この騎士団領の動乱の件のすべてだと思っていた。だから、アルベルトの寂しげな笑みの理由が全く分からなかった。アルベルトに定められた運命……その重さを。アタシがその「すべて」を知るのは、もう少し先の事になる。
「それはそうと、シフさんは今の騎士団領の状況をどの程度ご存知ですか?」
 アルベルトはそうアタシに訊いて来た。何だか、無理に話を変えようとしているのが、ちょっと痛々しくなって来る。
 それに気付かないフリをしつつ、アタシはトールから聞いた事のみしか状況を知らない事を話した。このPUBで情報を集めようとした時に、アルベルトに再会した事も。まぁ、PUBの連中よりは、“名誉騎士”たるアルベルトの方が、情報を持っているだろうからね。
「そうですか……私達は既にハインリヒ公とお会いし、これからの事を相談して来ました。テオドール公がバイゼルハイムを攻撃するのは最早時間の問題、それを憂慮してハインリヒ公は、遂に軍を動かす決定をしました」
「なんだって!!」
 アタシの声が、部屋中に響いた。今、部屋の中にはアタシとアルベルト、そしてダークしか居ないが、あまりにも大きかったので、もしかすると宿屋中に響き渡ったかも知れない。
「ですから、もう時間がありません。一刻も早く、テオドール公が偽者だと言う証拠を掴まなければ……」
「テオドールさんが、偽者……だって?」
 アルベルトの話の中に、不穏な言葉を聞きつけ、アタシは声を上げる。もちろん、先程大声を出してしまったので、ひっそりと……だ。ちなみに、ダークは先程から一言も喋らず、沈黙を保っている。
「ええ、コンスタンツはそう言っています。娘としての感覚が、テオドール公を偽者だ、と告げるらしいのです。あのコンスタンツがそこまで言うのです、テオドール公が偽者だと言うのは事実でしょう」
 テオドールさんが偽者。確かにそう考えれば、バイゼルハイム侵攻などという暴挙も頷ける。コンスタンツが断言するんなら事実と考えるのも、“希望的観測”からでは無い。
「そして、コンスタンツは、こうも言っていました。「恐らく父もう生きてはいないだろう」とも……
 テオドール公の生死は兎も角、偽者であると言う事に間違いはないだろうと私は思いました。それで、現在のテオドール公が偽者であると言う証拠を掴めば、今テオドール公に賛同している騎士達も立ち止まる筈です。そして、その証拠は城の中に……」
 もう生きていないだろう、か……そう言ったコンスタンツの気持ちを思うと、アタシまで悲しくなる。
「私はこれから街の灯が消えるのを待って、ミルザブール城へ潜入するつもりです」
「もちろん、アタシも連れて行ってくれるんだろうね?」
 コンスタンツの為に、そして騎士団領に住む人達の為に、何が何でもテオドールさん、いや、その偽者の暴挙を止めなければならない。その為には、偽者の証拠を掴む事が何よりの近道だと思われた。
「是非! シフさんもご一緒ならば“鬼に金棒”です」
 アルベルトの表情がパッと輝く。反対に、アタシは自分のこめかみがヒクつくのを感じた。
「……坊や……」
 アタシの発した低い声、そして“坊や”と言う単語に、アルベルトは一瞬ビクリと身体を硬直させ、こちらを振り向く。
 次の瞬間、アタシの両の拳がアルベルトのこめかみを挟んでいた。
「こんなんでもアタシだって一応女なんだからねぇ……。“鬼”とか“金棒”とかじゃ無く、せめて“百人力”とかにしな」
 アタシは拳にゆっくりと力を入れる。
「痛い痛い痛い、痛いですってば、シフさん!」
 “名誉騎士”の悲鳴が、部屋の中に響き渡った。
「……女なんだからね……か……。そう、確かに、オレは……」
 それまで喋らなかったダークの呟きが聞こえる。その瞳には、何かの意思……いや、決意の様なものが感じられた。

 東の空にあった銀のエリスの月が中天を過ぎた頃、アタシ達は行動を開始した。ミルザブールの街中を静かに走り抜け、街外れに程近い家屋の扉を開ける。扉の先は地下へ続く階段が口を開けていた。この先は、ミルザブール城へと続く通路が延びている。
「コンスタンツは、ここを通ってラファエルと逢っていたんだねぇ……」
 階段を降りながら、アタシは呟いた。
 そう……コンスタンツは、愛しのラファエルに逢う為にこの通路を使って城を抜け出していたらしい。
 アルベルトが“名誉騎士”の称号を得るきっかけとなった事件の時も、ここを使って二人は逢っていた。コンスタンツも、ああ見えて結構行動派なんだねぇ。まぁ、それが災いして誘拐されて……そして、逆にそれが転じて、その二人の結婚がテオドールさんに認められたんだ。けど、その二人の結婚の辺りからテオドールさんがおかしくなったらしい。
「この様な通路は、本来はイザと言う時の避難用なんですが、逆に在処を知られると、敵の潜入路となってしまう訳です。今、私達がこうしている様に、ですね」
 アルベルトが苦笑しながらそう説明する。
 アタシ達は長い通路を抜け、城内へと潜入した。静寂の中、慎重に歩を進める。
 目指すは最上階の公の寝室。コンスタンツの言う事が本当ならば、偽者はそこに何らかの痕跡を残している筈だ。
「人が……居ませんね」
 薄暗い城内を歩きながら、アルベルトがそう呟いた。
 確かに、現在使われている城の筈なのに、巡回の兵士の姿が見当たらない。そればかりか、人が居る気配が全くしなかった。
 アタシ達は周りを警戒しつつ、2階へと上がる。2階もまた、人の気配はしない。その代わりに……
「何でモンスターが居るんだい?!」
 アタシは目の前に現れたモンスターを一刀の下に斬り捨てる。
 人の気配がしないのも当然だ。騎士団領の中心都市たるミルザブールの城は、モンスターの巣窟と化していたのだから。
「オレの……邪魔をするな!」
 ダークが放った火の鳥の術が、一瞬にしてモンスターを焼き尽くす。
「こんな形で確信するのは癪ですが、これでテオドール公が偽者だと分かったも同然です」
 一瞬の内に5体ものモンスターを屠りながら、アルベルトは断言した。アルベルト……確実に腕を上げている。姉のディアナと同等……いや、明らかにそれ以上の剣の冴えだ。何だか逞しく、顔つきも精悍になっちゃって……ははっ、こりゃもう冗談でも“坊や”なんて呼べないねぇ。
「それじゃ遠慮は要らないね。こそこそするのは性に合わなかったんだ。派手に行くよ」
「はい」
「……承知」
 アタシ達はモンスター達を蹴散らしながら、最上階へと進む。
 何匹のモンスターを倒しただろう、剣を持った腕の感覚が麻痺しつつある頃、アタシ達は漸く目的の部屋の部屋に辿り着いた。
 モンスターにびっしりと埋め尽くされた通路とは違い、公の寝室には一匹のモンスターも居なかった。これ幸いと、アタシ達は部屋の中を物色する。
 暫くして、アタシ達は一枚の地図を発見した。
 その地図が示すのは、ミルザブールの南西の山の中。地図の端には、擦れた文字でこう書かれていた。
 『テオドール』 『拘束』
「これは……まさか……」
 コンスタンツは「父はもう生きてはいないだろう」と言っていた。
 アタシ達も、“テオドールさんが偽者ならばその可能性は高い”と思っていた。
 でも、この地図の示す事が本当ならば……
 ――テオドールさんは生きている。生きて、この場所に囚われている。
 ならば、本物を救出する事が、今のバイゼルハイムに居る者が偽者である何よりの証拠となる。
 アタシ達は急ぎ城を脱出した。
 時間は……あまり残されていない…… 


~ 続く ~


 
■次回予告!!

テオドールは偽物だった。
その事実を知ったシフ達は、ラファエル、コンスタンツ両名と合流し、急ぎ本物のテオドールが囚われていると思われる場所へと向かう。
しかし、その頃バイゼルハイムでは、今正に戦が始まろうとしていた。
騎士団領の明日はどこへ向かう?
次回、~ アマゾネスシフの蛮勇記 ~
~ 第9話 騎士団領動乱 後編:終結 ~
運命は、かく絡め取られる……




『シフ蛮勇記』も残り僅か……
9話は少し修正が入るので、ちょっと間が開きます。
『ジャミル探求記』が先に始まるかも?w
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