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2006年04月15日 [00:13] ジャミル探求記(小説?) 

ジャミル探求記 第1話  エスタミルの盗賊

本日は書く暇ないと思われるので、こんな時間w

オハヨウゴザイマス、Masです。
 
 
 
シフの方は、最後の詰めがありますので、
先にコッチを始めます。




~ 義賊ジャミルの探求記 ~


~ 第1話 エスタミルの盗賊 ~




 おれ達は、薄暗い地下水路の中を全速力で駆けていた。
「ダウド、何してる! さっさと来い!」
 後ろから付いてくる相棒のダウドを気にしつつ、更に後ろの方へ注意を向ける。
 タッタッタッ……。
 明らかにおれ達とは違う足音が迫って来ていた。
「ちっ、もう来やがったか。急げ、ダウド! 捕まったら終わりだ!」
「ま、待ってくれよ」
 おれの叫びを聞き、ダウドは必死に付いて来る。
 やがて、おれ達を追っていた足音は、次第に遠くなり、聞こえなくなっていった。
「ああ、危なかったぜ」
 地下水路から外へ出て日の光を浴びると、おれは伸びをしながら呟く。
「ダウド、グズグズするなよ」
「気をつけるよ。でも、逃げられたからいいじゃないか」
 おれの非難を、ダウドはそう言って受け流す。
「ちっ」
 こいつはいつもそうだ。捕まったらどうなるか、なんて全く考えない。おれ達がやっている事の危険さを理解していないんだ。確かに逃げられたから良かったものの、逃げられなかったら……。
 え? 何で必死に逃げていたのか、って?
 そりゃ、おれとダウドが盗賊で、ちょっと前にとある屋敷に盗みに入っていた時に見付かっちまったからさ。
 おっと、自己紹介がまだだったな。
 おれの名はジャミル。
 この世界一の大都市、エスタミルに住む盗賊さ。幼馴染にして相棒のダウドと二人でつるんで、金持ちの家から金品を盗む事を生業としている。
 今回の稼ぎはたったの一つ、見た目が綺麗な腕輪のみ。まぁ、いつもダウドのおかげで失敗ばかりだから、モノがあるだけ良し、って感じなんだがね。馴染みの連中からは、「ピンでやった方が良いんじゃ無いか?」とか言われるんだが、ダウドには良い所もあるんだ。まぁ、一番の理由は、腐れ縁、って奴なんだけどな。

 仕事が終って、南エスタミルの下町を歩いていると、通りの向こうに見知った姿を見つけた。おれはその人物の所へと駆け寄る。 
「よう。ファラ」
 おれが声をかけると、頭の上で結んだ髪がちょこんと揺れてこちらを振り向いた。その髪の下には瞳が大きな可愛らしい顔が覗く。この少女が、おれのもう一人の幼馴染のファラだ。幼い頃から、おれ、ダウド、そしてファラの三人でつるんでいた。お互いにでかくなって、おれとダウドが盗賊稼業を始めてからはちょっと疎遠になっちまったけど、こうやってたまに会ったりもする。
「あら、元気? 景気はどう?」
 声を掛けたのがおれだと知ると、ファラは微笑みながらそう訊いて来た。その微笑をみるだけでおれは元気になる。現金な奴だな、おれって……。
「まぁ、ぼちぼち……だな。今日の収穫はこれだけだ」
 おれは左腕を上げて、手首に着けた腕輪を見せる。金銭的価値はさほどじゃあ無いが、見た目が綺麗な腕輪だ。
「まあ、綺麗な腕輪ね。いいな~」
 ファラが心底羨ましそうに腕輪を見つめる。腕輪を見るファラの大きな瞳がキラキラしているのは、きっと気の所為じゃ無い。そして、おれはファラのこんな瞳にすこぶる弱い。
「ファラにやるよ」
 だから、ついこんな事を言っちまう。
「ホント!」
 一瞬驚いた顔を見せた後、ファラはおれの手から腕輪を受け取った。早速左腕に腕輪を着けている。綺麗は腕輪はファラに良く似合っていた。やっぱり、こういう物は可愛い女の子が身に着けてこそ映えるってもんだ。
「ありがとう。だからジャミルって好きよ」
 ファラはそう言って、満面の笑みを浮かべる。
 おれは、この笑顔が見たくて、いつもファラに物を贈ってるんだよな。……良く考えると、ファラって結構したたかかも知れない。
 でもそこは……惚れた弱み、って奴だから仕方が無いよな。

 翌朝――
「ジャミル、大変だ!」
 一仕事を終え、アジトで横になっていたおれの所へ、ダウドが血相を変えてやって来た。
 ――何だよ一体……。
 ダウドは基本的に臆病で、いつも何でも無い事を大袈裟に言ってくる。だから、今回もそうだろうと思って、ダウドの「大変だ」をあまり大事とは思って居なかった。だけど……。
「ファラが連れて行かれた!」
「何だと!」
 今回のは違っていた。
 おれは飛び起き、急いでいつもの服に着替え、ファラの家に行く。
 久しぶりに入ったファラの家の中では、物が散乱し、ファラの母親がうずくまっていた。
「ファラが連れて行かれちまったよ」
 おれの姿を見ると、おばさんはおれの肩を掴んでそう叫ぶ。その手には必要以上に力が込められていた。
「何があったんだ、おばさん」
 肩を掴んでいたおばさんの手を取り、なだめながらおれが訊く。
「借金のカタに奴隷商人に取られちまったんだよ」
 おばさんは、そう言って泣き崩れた。
 ――そう言う事か……。
 ファラは母親と二人暮らしだ。この下町で女二人生きて行くと言うのは、想像以上に難しく、生活はいつも苦しい。それでもファラはいつも笑顔を振りまいていた。そんなファラだからこそ、おれは――おれとダウドは好きになったんだ。
 身寄りが無かったおれとダウドは、よくおばさんに世話になった。自分達の生活も苦しいのに、だ。おれがファラにプレゼントと称して稼ぎで盗った物を贈ったりしているのは、惚れた弱み――確かにそれもあるんだが、世話になった二人へのその恩返しの意味もあったんだ。照れくさくて、おばさんには面と向かっては渡せてはいないんだけどな。
「分かった。おれに任せてくれ。何とかするよ」
 おばさんを安心させる為、おれは力強く言った。おばさんの顔が少しだけ明るくなる。
「頼むよ」
 おれは頷き、ファラの家を後にした。
 ――ファラは絶対に救い出す!

「……とは、言ったものの、どうするか……?」
 確かに、おばさんに「何とかする」と言ってはみたものの、当てはまるっきり無かった。
 ここエスタミルの下町が無法地帯だとしても、奴隷の売買は禁止されている。奴隷商人が居るとしても、違法な“モノ”を取り扱っている為、その居場所を突き止めるのは困難だった。
 ……いや、困難な筈だった。
 ひょんな所から、おれは奴隷商人の家を突き止る事に成功した。大都市特有の負の部分。物乞いの子供達が商人の家を在処を知っていたのだ。物乞い達は独自の情報網を持っていて、一般人が知らない事をかなりの所まで知っている。それは子供とて例外では無い。男は男なりに、女は女の武器を使って情報を仕入れるのに対し、子供も子供ならではの方法で情報を仕入れる。その仕入れた情報を商品として商売する子供も居るくらいだ。
 今回は、それに助けられた。相手が奴隷商人ならば、助け出すのは早ければ早い方が良い。グズグズしていると、ファラが売られてしまう可能性もある。ファラを売られてたまるか!
 嫌がるダウドを無理矢理巻き込み、おれ達は早速、商人の家に殴り込んだ。こういう手合いは、何にしろ“力”を見せ付けるとそれに媚を売る傾向にある。最初は強気に出ていた商人も、おれが用心棒を叩き伏せた途端、掌を返した様に態度を変えやがった。
 そうしたら、色々喋ってくれること。
 ファラはもうここには居なくて、クジャラートの元首であるリーの地位にあるウハンジの秘密の隠れ家に移動させられた、との事だった。その隠れ家の場所は、北エスタミルのアムト神殿。神殿までグルになってやがった。だからおれは神なんざ信じられ無ぇんだ。
「だが、女以外は入れないぞ。女装でもするか?」
 商人は、最後にとんでもない事を抜かしやがった。
 女装……女装……ねぇ……。

「よし、行くぞ!」
 服を着替え、髪をアップにしたおれは、気合を込めて言った。
 ――あ……。
「さあ、行きましょう」
 あわてて言い直す。今からでも口調を直しておかないと、イザとなったときボロが出かねない。
「ぷぷぷ……似合っているよ、その格好」
 ダウドが見事に変装したおれの姿を見て、そう賞賛(?)しながら、笑いやがった。
「……うるせ」
 笑ったダウドを小突いてから、おれは軽く悪態を吐く。
 でもまぁ仕方が無い。女装する事を決めたのも、それをおれ一人でやる事も、おれが決めた事なんだから。おれが一人で潜入し、ダウドは外で待機。イザとなったら一人の方が動きやすいし、ダウドの奴はサポート面に関しては良い仕事をするしな。
 だが……いくらファラを救出する為とは言え、まさか、おれがこんな格好をする羽目になるとは、想像もしていなかった。ちくしょう、ウハンジの奴……出会ったら、ぶん殴ってやる!

 おれ達は地下水路を通って北エスタミルに向かった。
 え? 何で船に乗らないのか、って?
 馬鹿言え、ファラを救出する為とは言え、こんな格好を他の連中になんか見せられるか! 船なんかに乗ったら、皆に見られちまうじゃないか!
 女装をしたままアムト神殿へ行くと、奥の部屋まですんなりと通された。
「へへへっ、こいつはべっぴんさんだな。へへへっ」
 奥の部屋の前に居る見張りには、こんな事言われる始末……ま、しっかりと昏倒させてやったけどな。
 ……いや、自分で言うのも何だが、確かに女装したおれは美人さ。笑っていたダウドも、そこは同意している。だからこそ、女装はおれ一人がやる事にしたんだ。一人の方が身が軽いのもあったけど、何より行動を起こす前に男だとバレるのもまずいしな。
 ……だけどな、“誰一人おれが男だと疑って居ない”ってのは、“おれの変装の技術が完璧”と見るべきか、“おれが女みたい”と見るべきか……?
 ――後者だったら、マジ男として少し傷つくぞ……
 そんな事を考えながら入った部屋には、十数人もの少女が集められていた。その殆どは見知った顔、エスタミルに住む者達だ。その中に、おれはファラの姿を見つけた。
「ファラ!」
 おれはファラの元へ行き、呼びかける。
「?……! ジャミル?」 
 最初はきょとんとしていたファラだったが、声を掛けた女の正体がおれだと分かると、肩を震わせて笑い始めた。  
「クッ……ククッ……何、その格好? アハハハ……」
 ――ファラに笑われると更に傷つく……。
「笑うなよ! 女に化けてまで助けに来てやったんだぞ」
 おれは恥ずかしさもあって、少し声を荒げながら言う。それを見てファラは、ごめんごめん、と謝った。でも、まだ腹は押さえたままだ。チクショウ。
「きっと来てくれると思ってたよ。ありがとう」
 ファラがにっこりと微笑んだ。この笑顔が見れたなら、女装した甲斐もあった、ってもんだ。
「へへっ。とにかくずらかぞうぜ。みんなも、さあ。見張りは気絶している、逃げるなら今の内だ」
 おれの言葉に、部屋に居た少女達は次々と部屋の出入り口へ雪崩れ込む。アムト神殿内にはダウドが待機している。少女達の姿を見ると最初は吃驚するかも知れないが、あいつはあれで頭の回転が速い。すぐに事情を察して少女達を安全な所まで誘導してくれるだろう。サポート面では本当に頼りになる奴だ。
 少し経って、部屋の中はおれとファラ、そして見知らぬ少女が一人……。
「お前も捕まったのか?」
 おれはその少女に話しかける。他の少女が逃げる中、その少女はどうしたら良いのか分からない様でオロオロするばかりだった。
「うん……ワタシ、タラール族のアイシャ、よろしくね」
 先程はオロオロしていたのに、話し掛けるとやけにハッキリした物言いで、その少女――アイシャは応える。
 ――? タラール族? タラール族だって?
「タラール族って、ガレサステップに居るって言う、あのタラール族か?」
 ――何でそんな遠くの娘が……? いや、今はそんな事はどうでも良い。
「とにかく、一緒に逃げようぜ」
「ありがとう。一人ぼっちで心細かったの」
 おれが差し出した手を取って、アイシャはそう礼を言った。
 そうか……攫われて、見ず知らずの土地に連れて来られて、周りは見ず知らずの人ばかり。自分から話し掛ける事も出来ずに居たって訳だ。それならば、オロオロしていた事も、話し掛けた時の元気の良さも頷ける。
 空いた方の手でファラの手を取り、おれ達も出口へと向かった。もう、こんな所には用は無い、とっととずらかるに限る。
「何だ貴様は!」
 おれ達が部屋から出ようとする正にその時、部屋の出入口を塞ぐ様に恰幅の良い中年の男が現れた。
「てめぇ……!」
 その男の正体は、クジャラートの最高権力者、リーのウハンジ。
「ジャミル……」
 ファラが心配そうに、そっとおれの袖を掴む。
「任せとけって」
 ファラにウインクをすると、おれは服の中に仕込んでおいたレイピアを引き抜き、ファラとアイシャを後ろに庇った。
「曲者を捕らえよ!」
 ウハンジが叫ぶ。
 ――この場所でそんな事を言っちゃうと……アンタがここに関わりある、ってバラしている様なもんだぜ。
 ウハンジの後ろから次々と屈強な男達が現れる。全部で四人。だが、どいつも身体は鍛えてある様だが、如何せん鈍い。
 おれは自分のウリである素早さを生かし、男達をそれぞれ一突きで行動不能にした。いくら筋肉を鍛えていても、攻撃を避けられなければどうしようも無いよな。
「さて……。お前がこの子達を誘拐した張本人だな。許さねえぜ」
 おれがそう言って睨むと、ウハンジは背を向けて走り出した。
 それを追いかけ、後ろから引き摺り倒す。仰向けに倒れたその喉元に、おれはレイピアを突きつけた。
「わ、わしが悪かった。ゆ、許してくれ」
 泣きながら、ウハンジは懇願する。
「そうだな……アンタの権力で、この子達の生活の保障をする、ってのはどうだ? あぁ、それにもう二度とこんな事をしないって約束するなら、考えても良いぜ。その前に、怖いと評判のアンタのかみさんにでも報告するか?」
「ヒィィィッ! わ、分かった……約束する……だ、だから助けてくれ……」
 ――他の言葉では普通にビビッていたが、かみさんの事になったらこの様子……よっぽど怖いんだな。その反動……って訳か……可哀想な気もするが、だからと言って許される事じゃあ、無いよなぁ。ま、けどファラの安全も保障出来たし、良し、とするか。
「よぉし、交渉成立」
 おれはウハンジの首筋からレイピアを離した。ウハンジが見た目にも分かる程、安堵する。
「……あ、そうそう、うっかり忘れる所だったぜ」
 おれは、拳を振り上げ、力一杯ウハンジを殴り付けた。
 ドガッ!
 ウハンジは再び仰向けに倒れる。
「これは、慰謝料、な」
 ウハンジからの反応は無い。倒れたウハンジの所に行くと、奴は目を回して昏倒していた。
「あ~らら。もう、聞こえて無ぇか?」
 本当に、これでもうここには用は無い。
 ファラとアイシャが、それぞれ昏倒するウハンジを蹴飛ばすと、おれ達はアムト神殿を出た。

 おれは今、ニューロードをアルツールに向かって旅している。
 あれから、おれは旅に出る決意をした。
 向こうが悪いとは言え、リーであるウハンジを殴ったおれは、ほとぼりが冷めるまでエスタミルを出た方が良い、と判断した事。そして……
「ジャミル~、タラールにはいつ着くの?」
 おれの隣を歩いているアイシャが、無邪気にそう訊いて来た。
「まだ、ずっと先だな」
 おれはそう答える。
 旅立ちを決意したもう一つの理由、それが隣で無邪気に笑っているアイシャだった。
 アイシャはタラール族。タラール族は北方にあるガレサステップに住んでいて、おれはアイシャをガレサステップに送り届けるつもりだ。もちろん、盗賊たるおれが善意だけでそんな事をする訳が無い。違う理由もある。
 アイシャの一族、タラール族――それは大地母神ニーサを奉ずる一族。
 そして言い伝えによれば、マルディアスのどこかにある、大地母神を奉る“真の”ニーサ神殿には、至高の宝石ディステニィストーンの一つ『土のトパーズ』があると言う。
 ディステニィストーン――それを手に入れる事が、小さい頃からのおれの夢だった。
 その夢の手掛かりが今、ここにある。

「ジャミル……ちゃんと、帰って来るよね?」

 ふと、旅立つ際のファラの泣きそうな顔がよぎった。

「当然だろ? ディステニィストーンを手に入れて、おれは帰って来るさ。何たってここが、ファラやダウドが居るこの街がおれの故郷だからな」

 おれはそう答えた。
 ――そうさ、必ずディステニィストーンを手に入れて帰る!

 おれの旅は、こうして始まった。
 この先に待ち受ける運命を、おれはまだ知らない……。


~ 続く ~


■次回予告!!

エスタミルを発ったジャミルとアイシャ。二人は一路、ガレサステップへ向かう。
ニューロードを北上し、タラール族の住む村に辿り着いた二人が見たものは、村人の消えた村の姿だった。
村人は何処へ消えたのか? タラール族を探す旅が、今始まる。
次回~ 義賊ジャミルの探求記 ~
~ 第2話 彷徨、消えたタラール族 ~
「元気出せよ。おれがついてるぜ」




つ事で、ジャミルです。
シフ共々ヨロシク。


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