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2008年01月13日 [00:00] 想記 

3度死んだ男(夢) ~3度目の死~

夢の中って、

自分の環境(状況)に何の疑問も持たないのが不思議!!!

オハヨウゴザイマス、Masです。

『3度死んだ男(夢) ~1度目の死~』
『3度死んだ男(夢) ~2度目の死~』

の続きです。
 
 
 
 ……
 …… ……
 …… …… ……真夜中の道……
 それも、街灯さえもまばらなこの道……
 車のライトを点けても尚暗いこの道……
 気が付けば、俺は三度猛スピードで走る車の運転席に居た。
 ……また、戻って来たのか……
 何となく予想はしていた。
 だから……今回は恐怖はあまり無い。
 その代わりに頭の中で渦巻いていたのは、生き残るための模索であった。
「Masさん、上手く行きましたね」
 この台詞も三度目。
「あぁ、そうだな……」
 俺のこの返しも三度目。
「Masさんはこれからどうするんです?」
 この質問も三度目。
「……」
 だが、俺は質問に返す事はしなかった。
 いや、正確には"返す余裕すら無かった"。
 既に俺の思考は、生き残るための方法でいっぱいになっていたからだ。
「Masさん? Masさんてば」
 思考の端っこの方でその様な声が聞こえているが、そんなのはもうどうでも良かった。
 "これからの惨劇を回避して生き残る事"
 これが今の最優先事項だったから……
 だが、実際どうする?
 ダンプは回避出来る。
 事実、"2度目の生"では回避した。今度もそれで回避は出来るハズだ。
 そう、まずはそれから。
 俺はスピードを上げた。
 これで、ダンプが事故を起こすタイミングからは外れる事は出来る。
 問題は、その後だ。 
 複数の車に前後左右囲まれて、そして横から銃で撃たれ……
 これを回避するには、まずは囲まれるのを避けなければならない。
 そう思うと、自然に身体に力が入り、アクセルの踏み込みも強くなる。急激に身体にGが掛かり、座席シートに身体が押さえつけられる。
「ちょっ、Masさん、イキナリなに……」
 横からそんな声が聞こえるが、そんなのは構っていられない。囲まれたら最後、とにかく逃げるしか無いんだ。
 追って来る車が"警察じゃ無い"と言うのも危険だ。
 何せ、追いつくなり銃をぶっ放すくらいだ。金を盗んだ奴等が相当ヤヴァイ奴なんだろう。
 一体、俺達は何処から盗んだんだ?
「ま、まぁ……早く着けばそれだけ安心っすからね。……俺も、早くガキ共に……」
 そんな声も聞こえるが、そんなのは構って……
 ……
 ……って、ちょっと待て。
 お前、"高飛び"して、"一生遊んで暮らす"んじゃ無かったのか? "以前の生"で、そう言っていただろ?
「お前……何だよガキって……」
 思わず口に出す。
「あ、あれ? はは、参ったなぁ……」
 横目で見ていると、バツが悪そうに頬を掻いている。
「俺が施設育ちだって事は知っていますよね? 他の皆には言っていなかったっすけど、俺、金は施設のガキ共にやろうと思っているんすよ」
 そう言って、照れながら笑う。
 あぁ、そうだ……
 俺がコイツとつるんでいるのは、コイツがこんな奴だって知っているからだ。
 名前も思い出した。
 コイツはカズヒロ。
 両親の居ない――正確には、捨てられた、孤児だった奴。
 粋がってはいるが、根は臆病で優しくて、そして寂しがり屋な奴。
 表には出していない(と本人は思っているが、実際にはバレバレ)が、いつも育った施設の事、施設に居る子供達の事を思っている。
 俺は、そんなコイツが危なっかしくてあれこれ世話を焼いて……いつの間にか懐かれてしまった。
 今回事も、コイツが志願したのを俺が付いて来た、ってのが本当の所だ。
 ……
 ……今回の事、だって……?

 あ……!!

 俺は色々と思い出した。
 俺はとある会社に入っている事。
 会社の命令によってカズヒロが今回の仕事を命じられた事。
 仕事の内容は、"ある家"から"金"と"ある物"を盗んで来る事。
 その"ある家"というのは、とても危険な家である事。
 カズヒロ一人では危なっかしいので、バックアップとして俺が付いた事。
 仕事は(表面上)上手く行き、今は逃げている最中である事。
 そして、俺自身の事。

 ……はは……確かに、警察には知らせられないわな。

 "こんな物"を持っているなんて知れたら……な。
 
 そりゃ殺してでも奪い返したくなるわ……
 俺はチラと後ろを振り返る。
 後部座席にあるのは、"金"と、"ある物"。
 会社は何でこんな物を盗めなんて……盗むよりもっと……
「あ!」
 カズヒロの声がした。
「Masさん、猛スピードで追って来る車が……」
 バックミラーに目を向ける。そこには、あの車達が映っていた。
 もう来たのか……
 早めにスピードを上げていたお蔭で、"2度目の生"の時に殺された地点は既に過ぎている。
 ダンプの事なんて忘れていた程で、事故が起きたタイミングは、俺達の車が通り過ぎた遥か後方だろう。
 兎に角、囲まれない事。
 特に、横に付かれたら、バン! で終わりだ。
 ここは高速道路。横にそれる事が出来る道も無い。文字通り、真っ直ぐに進むしか道は無い。
 更に、追いつかれたら最後、普通に運転する技術しか無い俺には、逃げ切るテクニックが無い!
 ならば手は一つ。
 とにかく逃げ切る!
 ほぼ真っ直ぐなこの道ならば何とか……
 そう思い、アクセルを踏む。
 車は更に加速し、車を振り切る。
 時速160km
 今まで俺が体感した事の無いスピード。

 だが……
 
 "奴等"はあっさりと追いついて来た。
 そして、あれよと言う間に前後左右囲まれる。
 囲まれた? くそっ!
 心の中で舌打ちをする。
 また、ダメなのか?
 既に"諦め"始めている。
 いや――
 まだだ。
 先程思い出した俺自身の事。
 カズヒロが危っかしい、というのがこの仕事を志願した最初の理由だが、今はそれ以上にこの仕事を成功させなくてはいけない理由がある。
 俺の、俺自身の為に……!
 横の車のドアミラーが下りて行く……そして現れる銃口。
 俺はブレーキペダルを思いっきり踏んだ。

 キキーッ! ぐしゃっ! ドゴーン!

 突然のブレーキに、後ろに付いていた車はハンドルを切る。
 後に付いていた車はそのままハンドルを取られ、壁に激突した。その衝撃で車は爆発、炎上し、壁も崩れる。 
 俺達の車は後ろに付いた車の車体をかすめたが、お蔭で囲みを抜ける事には成功した。

 やった!

 歓喜が俺の心を満たす。

 だが、今度の歓喜は直ぐに消える。
 1度囲みは抜けたが、だからと言って追撃が終わった訳では無い。
 俺の急ブレーキで、一旦は走り去った他の車が、再び戻って来たのだ。
 それを見ると、俺はもう車を走らせる気力が消えてしまった。
 高速道路に停まったままの俺達の車。
 それを囲む複数の車。
 車から降りてくる複数の男達。
 その手に握られているのは、黒光りする物体。
 男達はそれを持ったまま右手を前に突き出し――
 銃声。

 その瞬間、俺の脳裏に浮かんだのは、一人の女性と子供……

 こうして……
 俺は3度目の"死"を迎えた…… 

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