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2006年04月22日 [17:56] イスカンダール記 

イスカンダール記:第2章-1

私にとって、忘れられないこのゲーム!!!

『アンリミテッド:サガ』

コンニチハ、Masです。
 
 
 
つ事で、今日はコレです。

サガとしては、
超絶マイナーなこのゲームの二次小説!!!



では、行ってみよ。





第2章  蒼き衣の魔道士




 ―――俺が旅立って間もない頃、ある荒野でドラコラルヴァと遭遇し、戦いになった。戦いは俺が有利に進めていたんだが、その最中、俺とドラコラルヴァの上から、いきなり雷をブッ放してきた奴が居た。ドラコラルヴァはその一発で黒コゲになり、倒れた。そして、雷を放った張本人が岩影から姿を現した。何所かつかみ所の無い雰囲気、予告も無しに危険な術を放ち、しかもその術一発で巨大モンスターを倒すほどの力量を持つ、蒼き衣の魔道士。それが、俺とリースの出会いだった。
                           ~『イスカンダール記』より



          1

 太陽が照りつける荒野。
 蒼穹に座する太陽は、容赦無く大地を焦がし、自然の厳しさを象徴していた。
 一年を通し雨もろくに降らないこの土地は痩せ、極少数の逞しい雑草のみがその大地に根付いている。それ等が、茶色に覆われた荒野に僅かながらの斑な模様を描いていた。
 一日で一番気温が高くなるこの時間帯は、この辺りに住む暑さに強い獣達でさえ涼を求め、手近な岩陰にてじっと暑さに耐える程だ。
 今もまた岩陰で息を潜める獣達は、身動きもせずにその暑さに耐えながら、一つの成り行きを見守っていた。
 彼らの視線の先には影が二つ。
 小さい影は人間の若者だろうか。相対的には小さな影となっているが、人間としては長身の身体を白でまとめられた装備で包み、マントをはためかせながら大きな影の鋭い攻撃を見事にかわしていた。精悍ながらも何処か少年っぽさを残してるその表情には、何所か余裕すら窺える。その余裕を裏付ける様に、自分の数倍の大きさのモンスターと戦っているというのに、傷一つ付いていない。
 若者の名はイスカンダール。
 かつて、自ら師匠と呼んだ戦士に育てられ、その師の遺志を受け継いだ者。その情熱だけは人一倍なのだが、計画性に於いて少々難ありのようで、大いなる目的を前に何をするでも無く、ただ辺境のモンスター退治にその身を燻らせているようであった。
 イスカンダールに相対しているのは、彼にとって最近では既に馴染みとなったモンスターで、真っ赤な皮膚と逞しい四肢を持つ、巨大な獣。全長は七~八m、胴回りも四m程、そして特徴的な巨大な刃物状の顎を持つそのモンスターはドラコラルヴァと呼ばれていた。こちらはイスカンダールとは逆に、その巨体に無数の刀傷を負ってる。
 そのドラコラルヴァは、傷だらけの身体を気にもせず、巨大な顎を突き出し、大声で唸りながら突進して来た。イスカンダールは剣先を下げ、悠然と構えている。
(最初見た時は、大きさに驚いたものだが……)
 イスカンダールとドラコラルヴァの身体が交錯した。瞬間、ニ度の白刃の煌めきが走り、紅の血飛沫が激しく飛び散る。
(所詮は見かけ倒し、こんなものか……)
 イスカンダールの剣はドラコラルヴァの顎下を十字型に切り裂いていた。勝利を確信し、不敵に笑う。間髪入れずに、止めを刺そうと右へ回り込み、剣を構え直した。
 その時である。イスカンダールの全身を悪寒が駆け抜け、何かの気配を感じた。
(この波動……急激に魔力の膨れ上がる感じ……上か!?)
 そう結論するが否や、イスカンダールの反射神経――いや、防衛本能とでも言うべきか――が、後ろに飛び退いてその場より離れる。
 その直後――
 ヂャッッ!
 目の前のドラコラルヴァのすぐ上、何も無い虚空に魔力の光が集まったかと思った瞬間、真下のドラコラルヴァの巨体を雷光が撃ち抜いていた。
 バチイイィィィ!! ピシピシ……ズゥゥゥーーン!!
 痛烈な落雷をまともに受けて、黒焦げになったドラコラルヴァは、全身から煙を立ち上らせると、そのまま横向きに地響きを立てながら崩れ落ちた。
 イスカンダールは、あまりの威力に一瞬、呆然とする。
「……少し、制御が甘かったか?」
 低い――男の声が背後から聞こえ、イスカンダールは振り向いた。
 赤茶けた大地の上に、ラズリアのような蒼色の影が一つ。
 蒼い影だと思ったのは、全身が隠れる程の蒼い衣だった。外套もすっぽり被っているせいで、男か女か――いや、声からすると男なのだろうが――全体的に華奢な感じがしてどちらとも言えない。何よりも、声を発するまで蒼衣の者が居た気配すら感じる事が出来なかった。確実にそこに居る、という確信はあるのだが、何処か現実味の無い……その様な感じ。
(人間……なの……か?)
 その蒼衣の放つ希薄で妖しげな雰囲気に困惑しながらも、イスカンダールは慎重に一歩ずつ蒼衣に近付いて行った。
 すると蒼衣の方も同じようにこちらへ向かってくるではないか。しかしイスカンダールと違うのは、その歩みが明らかにリラックスしたものであると言う事だった。
 その足が大地を踏む時に、微かにではあるが足音がする。という事は、よほどの事でない限りは、その蒼衣は幻影では無く、実体がそこにあると言う事だ。
(油断するな……)
 自分に言い聞かせながら、イスカンダールは更に慎重に男の様子を伺い始めた。
 いつでも剣を抜けるよう僅かに腰を落とし身構えつつも、イスカンダールは速度を変えずに蒼衣に近付く。
 二人の距離が縮まるに従い、イスカンダールの耳に、風に乗った蒼衣の独り言が聞こえてきた。
「……召雷をアレンジしてみたが、今ひとつ威力が伸びないか……。もう少し水気の比率を上げて、五行を全体的に木気に偏らせれば少しは……」
 蒼衣がイスカンダールの剣の間合いに入る。
 ……しかし、蒼衣の男――やはり声から判断するに男――はブツブツ考え事をしていて、まるでイスカンダールに気付かないような素振りで、何事も無くイスカンダールの脇を素通りして行った。そして、黒焦げのモンスターの所まで辿り着くと、屈んでモンスターを様子を観察し始める。
「魔を掛け合わせてみるか? ……うむ、バックファイアの危険性があるな、魔に喰われそうだ。それなら、純粋に木気を高めて……」
 男は、炭化したモンスターの皮膚を触りながら、尚もブツブツと言っている。
(なんだこいつ……)
 男の奇妙な行動を理解出来ず、少々呆気に取られていたイスカンダールだが、この男の雷光の餌食になりそうになったことは確かである。
「おい! 貴様!」
「……しかし、それで果たして……」
(この野郎……!)
 自分を無視し続けるこの男にイスカンダールは苛立ち、そして……キレた。元来、それほど気の長い方では無い。
「……おい……!」
 低い声でそう一言呟くと、後ろから左腕で男の襟首を締め上げ、無理矢理こちらに顔を向かせた。そして、殺気を込めて外套の中を覗き込んだ途端――
(あ……れ……?)
 突然、頭がぼうっとしてイスカンダールの意識は白き闇に溶け込んだ。
 そこは……ただ一面に白い靄の様なモノが広った場所。自らの手ですら見る事が叶わない白き闇……。自分が立っているのか座っているのか、前に進んでいるのか後ろに下がっているのか、上に昇っているのか下に落ちているのか、それすらも分からない。しかし、ただそこに居るだけで温かく包まれ、とても居心地は良い……。
 そんな闇の中で気持ちよく微睡んでいると、誰かの声が聞こえた。その声は、温かく懐かしい響きを伴ってイスカンダールを呼ぶ。イスカンダールはその声に向かって歩こうとした。
 ――今は絶対に聞く事が出来無い筈の懐かしきその声の下へ――
 そこまで考えるに至り、イスカンダールはある違和感を感じた。
(……今は絶対に聞く事が出来ない?)
(……そうだ。あの声が聞こえる筈は無い!)
(……ならば、これは……ここは……)
 イスカンダールの意識はそこで覚醒した。
 ……足下がふらつき、身体が傾く。しかし、イスカンダールは身体が倒れる寸前で我に帰り、体勢を立て直した。いつの間にか左腕は外されていて、目の前に居る男の蒼い外套の中から見えるのは、金色の光が双つ。
「ほぉ……。……自力で帰って来たか……」
「あぁん?」
 男の呟きの最後の方の意味が分からず、イスカンダールは訊き返す。しかし、男の呟きを頭の中で整理すると、一つの結論に達した。再び男の襟首を掴み引き寄せる。
 その時、外套が外れ男の容貌が明らかになった。金色の双眸と線を引いたかの様な眉。スッと通った鼻筋に薄い唇。歳はイスカンダールよりも一つか二つ上のように見える。絹の如き黒髪を揺らしながら、女性と見まごう程の美貌を持つその男は、僅かに笑みを浮かべていた。
「貴様……どういうつもりだ?」
 イスカンダールは男の“金色の瞳を見て”訊く。僅かながら目眩のような感覚はあれど、今度は先程の様な幻覚に襲われる事は無かった。
 先程外套の中を覗き込んだ時、イスカンダールは男の金色に輝く瞳と目が合った。恐らくその時だろう、男が幻覚の効果がある“何か”をしたのは。それを確信した時、元来“負けず嫌い”のイスカンダールは、再び目を合わせた。もし、同じ事をされとしても、自らの意志を強く保つ事で幻覚を打ち破れる……そんな自身があった。
「どういうつもり……とは?」
 イスカンダールに問い掛けられた男は、笑みを浮かべたままそう訊き返す。
(知らばっくれるつもりか?)
「さっきの雷! そして今の幻覚! まさか、知らないとは言わないよな!?」
 男は、それで漸く気付いたらしかった。
「……あぁ……いや、申し訳無い」
 そう言いながら頭を下げる。
「偶然にも、君は私の瞳を見てしまったらしいな……。私の瞳は少しばかり他とは違っていてね……。普段は見えない様、外套で隠しているんだが……」
「やはり、瞳か……」
 男が外套を被り直すのを眺めながら、イスカンダールは呟く。
「しかし……君の技量は素晴らしいな。ドラコラルヴァ程のモンスターを相手に、一歩も引かないどころか圧倒するとは……」
「あの程度ならばどうって事無い」
 ぶっきらぼうにイスカンダールは答えたが、褒められればやはり嬉しい。
「雷もいきなり撃って済まなかった。君に当てない様、射線は注意していたんだが、もし万が一の場合があったとしても、あれほどの技量ならば避けられる。と思ってね」
「見ず知らずの奴にそんな期待されても困る!! だがな……あ~もう面倒くせぇ。こうして無事だったからそれで良い」
「そう言ってもらえると助かる。……あぁ、そう言えば自己紹介がまだだったな」
 男は居住まいを正し、イスカンダールを正視する。
「私の名はリース、トーレ村のリースだ」
 そう言って一礼をした。優雅に、紳士的に……。
 礼をする――たったそれだけの行動なのに、その姿からは、先程までの人を小馬鹿にしたような飄々とした雰囲気は無く、逆に威厳、あるいは神々しささえ感じられた。
「……イスカンダールだ」
 イスカンダールの方は、簡潔にそれだけを言う。未だに男=リースに対するわだかまりがあった。
 しかし、イスカンダールが名乗った際、リースは予想だにしない反応を見せる。
「……イスカンダール? ……そうか……イスカンダールか……」
 思案気味になり、リースはイスカンダールの名を反芻した。そう、まるで遥か昔の旧知の友を思い出すかの様に。
「……いい名だ。よろしく、イスカンダール」
 やがて納得したかのか、一つ頷いた後、微笑みながらリースは右手を差し出した。
 差し出された右手を見て、イスカンダールは一瞬躊躇する。
 蒼い衣を纏い、飄々として、いかにも怪しげなこの男、リース。人が居るのにもかまわず、いきなり雷をブッ放つ、危険極まりない男、リース。無意識とは言え、自分に対し幻覚に陥らせた男、リース。この男に黒コゲにされそうになり、更には怪しげな幻覚も見せられた。それ故に第一印象は最悪だった。だが……。
「こちらこそよろしく、リース」
 そう返しながら、イスカンダールはリースの手を握り返した。
 フードの奥から覗くリースの瞳。最初はこの瞳を見て、一瞬自分を見失いそうになったが、改めて見ると、金色のその瞳は、曇りが無い様にイスカンダールは感じた。この男が何者であろうと、こんな瞳をしているのなら――
 ――“信用出来る”――
 何故か、そんな確信があった。
 ――もしかすると、自分では振り払ったつもりでいたが、未だにリースの幻覚、あるいは魔力に囚われているのかもしれない――
 そんな疑念も多少はあったが、イスカンダールは今の自分を、自分の感性を信じた。最も自分の名前を「良い名」と言われて、気持ちが浮いているだけかも知れないが……。
「イスカンダール、ところで君はどうしてこんな辺鄙な所に居るんだい?」
 リースがそう訊いて来た。
「俺は旅の途中だ。あんたこそ何故ここに?」
 イスカンダールは簡潔にそう答え、逆に訊き返す。
「私はこの近くの洞窟に籠もっていてね。そこで術の研究をしている」
(術の研究……?)
 リースの言葉を聞いて、イスカンダールは少し首を傾げる。
 師匠と旅をしていた時、イスカンダールは何人かの“術の研究者”に出会った。その者達は一様に高い魔力を有しており、自らの魔力を用いて研究を行っていた。術と言うのは魔力が高い程威力は増し、使える種類も多くなる。逆を言えば、“魔力が高い者でないと術の研究は成り立たない”のである。“術の研究者”達は、その魔力の高さ故、自らをこう称する事がある。
 ――“魔道士”――
 先程の召雷の術の威力、そして幻惑の術だけを見ても、リースの術士としての力量は、“魔道士”と呼ぶに相応しい事が分かる。
「“魔道士”……か……」
 イスカンダールは、思わず口にしていた。
「“魔道士”……そう呼ばれる事もあるな」
 そのイスカンダールの言葉を耳にして、リースは苦笑する。
「……“魔道士”とは、自らを特別な者とする“傲慢”な呼び名。または他の人々からの“尊敬”と“畏怖”を意味する呼び名。或いはその両方……」
 誰に言うでも無く、リースは小さく呟く。
「どちらにしても、あまり好きでは無いのでね……」
 最後の方は、ほとんど声には出てなかった。
「ん? 何か言ったか?」
「いや、別に」
 リースは再び苦笑する。その笑いが、何処か自嘲的な様にイスカンダールは感じた。
「まぁそんな事よりも……」
 リースは誤魔化すかの様に、口を開く。
「私の村はここからすぐ北にあるんだ。術の研究の方が一息着いたので、帰ろうと思っていた所なんだが……。イスカンダール、もしよかったらウチに来ないか? 辺鄙な村だが、それなりのもてなしは出来ると思う。どうだろう?」
 そのリースの申し出に、小考した後イスカンダールは頷いた。
「お邪魔する」
 ――今の所、特にあても無い。それならば、この不思議な男の住んでいる土地を見るのも悪くは無いだろう。
 そう思ったのだった。

 ――“信用できる”――
 イスカンダールのその確信は、半分正解で、半分外れであった。

 ――これより後、イスカンダールは輝かしい栄光を掴む事となる。そこに辿り着くまでの長く厳しい“試練”という名の道のりには、リースの存在が不可欠であった。
 しかし、その栄光の道のりの蔭では、リースによって様々な受難の日々を送る事になろうとは、この時のイスカンダールはまだ知らない。
 『英雄』イスカンダール。
 『大魔道士』リース・トーレス。
 後に伝説の人物となる二人の、これが出会いであった。

「……そう言えば、一人でドラコラルヴァの相手をして疲れたろう?」
 おもむろにリースが訊ねる。
「まぁ、少し……な」
 イスカンダールは無意識にそう答えた。それを聞き、リースがニヤリと笑う。
「丁度良かった。ここに私が調合した薬があるんだが、試しに飲んでみないか? 疲れなんてすぐ消えるぞ」
 そう言ってリースが懐から取り出したのは、淡い翠色の液体が入った小瓶。
 この時、イスカンダールは、少し嫌な予感がしないでも無かった。だが、疲れは確かに感じていたので、それが僅かな疑念を吹き飛ばす。
「これか? ……じゃ、早速……」
 リースから小瓶を受け取ると、イスカンダールは中身を一気にあおった。
「うん、結構飲みや……ぐはぁっ!!」
 そして突然、薬を吐き出すと同時に、倒れ込む。
「……おや? おかしいな、配合を間違えたかな? ……仕方がない」
 リースは短く呪文を唱えると、杖の先端を倒れているイスカンダールにかざした。水の気がイスカンダールを覆い、身体を癒す。
「お前……一体、何を飲ませた?」
 荒い息を吐きながら、イスカンダールは訊く。少し間を置いてから、リースはこう答えた。
「何、只の失敗作だ」
(……この野郎……!)

 ……受難の日々は、既に始まっていた。栄光は……まだ遠い……。




つ事で、登場した「大魔道士」サマ。
さて、これからどうなる事やら……。

次回は……未定です(苦笑)。
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